
エチコン縫合糸

縫合糸の分類
縫合糸は生体内変化、素材、形状によって以下のように分類することができます。
1)生体内変化による分類
- 吸収性縫合糸
- 非吸収性縫合糸
2)合成か天然かによる分類
組織反応 | 強さ(抗張力) | |
合成 | 極めて軽微 | 強い |
天然 | 大きい | 弱い |

3)モノフィラメントかブレイドか
- モノフィラメント
単一フィラメントからなる単糸表面が平滑である。 - ブレイド
複数のフィラメントを編み上げた糸
モノフィラメント | ブレイド | |
---|---|---|
メリット | ・組織通過時の組織損傷が少ない ・ノンキャピラリーである為細菌が伝播しない ・結び目のすべり下ろしが容易 |
・しなやかなので取り扱いが容易 ・結びやすい ・結び目が大きくならない |
デメリット | ・一般的に柔軟性にかけブレイドと比べ取り扱いにくい ・結び目が大きくなる ・メカニカルダメージに弱い |
・モノフィラメントと比較して組織通過性が悪く、組織損傷の可能性がある ・キャピラリーである為、細菌が伝播しやすく、編目に細菌が宿り、感染巣になることがある |
エチコンの縫合糸ラインナップ
様々なケースに対応


エチコンの合成吸収性縫合糸
Innovation in Synthetic Absorbable Sutures Exclusively ETHICON*
Suture Brand | 生体内抗張力保持期間※ | 吸収期間※ | |
---|---|---|---|
![]() |
バイクリルラピッド* VICRYL RAPIDE* Coated(polyglactin910)Suture |
5日後・・・約50% 10日~14日後・・・0% |
約42日 |
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モノクリル* MONOCRYL* (poliglecaprone25)Suture |
Undyed 1週間後・・・約50%~60% 2週間後・・・約20%~30% Dyed(Violet) 1週間後・・・約60%~70% 2週間後・・・約30%~40% |
約91日 ~119日 |
![]() |
バイクリル* VICRYL* Coated(polyglactin910)Suture |
2週間後・・・約75% 3週間後・・・約50% (6-0以上、7-0以下は40%) 4週間後・・・約25% |
約56日 ~70日 |
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PDS*縫合糸 PDS*Ⅱ (polydioxanone)Suture |
3-0以上 4-0以下 2週間後・・・約80% 約60% 4週間後・・・約70% 約40% 6週間後・・・約60% 約35% |
約182日 ~238日 |
![]() 生体内抗張力保持期間(日) |
※IN VIVO
縫合針の種類
縫合針の構造
彎曲の種類
針先の種類

丸針
腹膜、腸、心臓など、やわらかく刺通しやすい組織に主として使われる。

テーパカット針
エチコンが開発したユニークな縫合針で、丸針の先に鋭利な三角形の刃が付いている。かたい組織に適する。

逆三角針
第3の刃が彎曲の外側に付いており、内側は三角形の底辺となっている。かたく、刺通しにくい組織に適する。

プレシジョンポイント、プライム
通常の製造工程に加えて24回にも及ぶ特殊研磨を施した非常に鋭利な表皮用縫合針。デリケートな形成手術、美容形成手術に使われる。

角針
両外側に向かって2つの刃、彎曲の内側に向かって第3の刃が付いている。針の中心寄りからボディは楕円形となる。

エチガード針
針先が丸みを帯びた特殊縫合針。肝臓、腎臓などやわらかい組織で創傷を極力避けなければならない組織に使われる。医療従事者の針刺し事故によるリスク軽減に有効。

セーバーロックヘラ型針
上下が平らで、両面に鋭利な刃を持つ眼科用縫合針。層と層の間に分け入りやすいようにデザインされている。

マイクロポイントヘラ型針
薄く、平たい形状をした眼科用縫合針。眼球前方部の手術に使われる。特殊研磨によって刃先は非常に鋭利である。
エチコン縫合針の特長
エチコンの縫合針は鋼材・形状・コーティングのコンビネーションと独自の技術により製造されています。
ALLOY(鋼材)
強く、シャープなステンレススティール
エチコンの縫合針には420鋼、455鋼またはエチアロイを材質とし、曲げに耐える強度と折れる前に曲がる靭性を持っています。また、シリコンによるマイクロコーティング仕上げを行っている為、切れ味は良く、組織を容易に刺通することができます。
COATING(コーティング)
マルチパスニードル
エチコン独自のテクノロジーでコーティング耐久性が飛躍的に向上しました。繰り返し組織を通過しても一針目の切れ味が持続し、組織損傷を軽減します。
マルチニードルパス製品にはマークがパッケージに表示してあります。
GEOMETRY(形状)
エチコン独自のリブミゾ付き縫合針
エチコンが開発したミゾ付き縫合針は針彎曲の内側及び外側に縦に走る溝が刻み込まれており、持針器の歯とかみ合うようになっています。これによって針は持針器にしっかりと保持され、使用中に針が動くことなく、優れた操作性を発揮します。

コントロールリリース針は結節縫合に適しています。
通常の使用では糸が抜けるようなことはありませんがその機能上、下図のように一定の力を加えれば針が糸からはずれるようになっています。

持針器の選択と使い方
②針をつかむ先端部がしっかりした良質のものを使う。

③針先とスウェッジ部の損傷を避けるためにスウェッジ部分(糸固定部分)から針先までの距離の1/3から1/2のところを把持する。スウェッジ部分およびその近くは把持しない。

④針は、持針器の先端でしっかりと把持する。

⑤組織に針を刺し入れる時は、針の彎曲に沿って運針する。
⑥組織から針を引き抜く時には、針先をいためないよう、できるだけ針先から離れたところを持針器で把持する。

⑦小さな針で組織を大きくえぐることのないよう気をつける。
⑧針先を組織から出しにくいときは、針に無理な力を入れたり、ねじったりせず、針を一旦元に引いて、再度組織に刺し入れる。
⑨切れ味の悪い針で無理に組織を刺通せず、新しい針を使う。
⑩縫合時、創縁を寄せたり、合わせたりする目的に針を使わない。

⑪針を把持した持針器を術者に手渡す時は、持ち換える必要がないよう術者が使う方向に向けて手渡す。
⑫変形した針、傷ついた針は針折れの原因になるので使用しない。また、針の破損は手術時間の延長や再手術、異物残存の原因になる。
⑬よりかたく、より繊維質な組織に対しては太めの針を使う。
⑭深く狭い部位では、思い通りの運針ができにくいので、より注意深く運針するか、場合によっては少し太めの針を使う。
●エチコンは、各種術式や術者の手技に適した均一な品質の針が選択できるよう多種多様の針をそろえています。
パッケージの読み方


エチコン製品製造年月日・使用期限の見方
製造年月
ロット番号の頭2文字は製造年月を表しています。
第1の文字=製造年、第2の文字=製造月
第1の文字 | 第2の文字 | |||
---|---|---|---|---|
C=1991 | L=1998 | U=2005 | A=1月 | H=7月 |
D=1992 | M=1999 | X=2006 | B=2月 | J=8月 |
E=1993 | P=2000 | Z=2007 | C=3月 | K=9月 |
G=1994 | Q=2001 | A=2008 | D=4月 | L=10月 |
H=1995 | R=2002 | B=2009 | E=5月 | M=11月 |
J=1996 | S=2003 | G=6月 | P=12月 | |
K=1997 | T=2004 |
例 XJ2728
XJ2728とはX=2006、J=8月つまり製造年月は2006年8月になります。
※イギリス製品にはMfg.2004-01(2004年1月製造)の表記もあります。
※F、I、N、O、V、W、Yは誤解を招く恐れがあるので使用されていません。
使用期限
製造国によって表示法が異なります。
アメリカ製品
●期限 JAN2011=2011年1月使用期限
●Exp. JAN2011=2011年1月使用期限
イギリス製品
●2011-01=2011年1月使用期限
ドイツ製品
●2011.01=2011年1月使用期限